アニメの元祖「葛飾北斎」

 アニメは日本のお家芸。そりゃそうです! 江戸時代に葛飾北斎が描いた『北斎漫画』は、漫画というよりアニメそのものですから。
 『北斎漫画』『続 北斎漫画』からアニメチックな絵だけをピックアップしてご紹介します。

 (写真はクリックすると大きくしてご覧になれます)

 写真機が西洋で発明されたのは1826年だそうです。その時北斎は66歳、でも日本の彼は写真を知らなかったのではないでしょうか?あるいは知ってたとしても、それを利用して絵を描くことはなかったのではないでしょうか。

 写真を使わずに、なぜこんなにも「動きのある人物」を正確に描けたのかとても不思議です。この絵は、いつだったかNHKの特集番組で、連続して動画のように再生されましたが、まるでアニメそのものでした!

 こんなのもありますよ。関取の筋肉の緊張が正確に描かれていますね!

 これは乗馬、よく見るとななめに動画となる絵が続いていくのがわかります。

 北斎という人は、他の絵師と異なる偉大な才能を持っていたと思うんです。『動体視力』がことのほか強く、一瞬の動作を自分の網膜に写真のように焼き付けることができたのではないでしょうか?

 かつて「北斎漫画」という映画を観ましたが、老年になっても衰えない創作意欲と、鬼気迫る制作光景(映画監督の想像ではあるでしょうが)には怖じ気づく感じがしたことを思い出します。

 最近、手塚治虫をテーマにした漫画「ブラックジャック創作秘話」を読みましたが、なんかよく似ている感じがしました。

 それと、こんな絵を見ると水木しげるさんの絵が彷彿としてきます。

 現代のカリスマ漫画家たちはすべて「北斎の子孫」と言っても過言ではないような気がしてきます。お二方とも日本アニメ黎明期の開拓者でありましたし。
 
 『北斎漫画』『続 北斎漫画』を見ると、現代漫画、アニメのすべてのルーツがここにあることがよ〜くわかります。日本文化の偉大な元祖であったことはまちがいありません。

 北斎がもし現代に生きていたとしたら、果たしてどんなものを描くのでしょうか?彼の描いていたものが「市井の人々」「妖怪」「旅物語」「スポーツ」「動物」「風景」と、あらゆるジャンルを網羅していますから想像がつきません。

 まちがいなく「北斎プロダクション」ができていて、ディズニーをしのぐ世界一のアニメ制作会社として世に君臨していたことでしょう。 

参考
 水木しげる「福島原発の闇」
 ヒトの顔をした自動車
 ブラックジャック創作秘話
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