自転車と風車と高校生

 風薫る五月がやってきます!風に泳ぐ鯉のぼりたち。3.11を経た今、お日様を見れば「太陽光発電」を、風が吹けば「風力発電」をすぐに連想してしまいます。いや自転車に乗ってさえ「人力発電」のことを思ってしまいます。

 朝日新聞デジタルには「スクラップ」機能が付いていまして、久しぶりに開いてみると、案の定、スクラップしているテーマは主に二つ。

 「原発問題」と「クリーンエネルギー」のことだらけでした。

 まったく違う記事ながら、思わぬ(小さな)関連を発見しました。何か発想のヒントを得たような気がします。

 ひとつは、今月各地で行われた(らしい)「アースデイ自転車発電」のイベント記事。

 もうひとつは、昨年10月の「モンゴル風力発電機」の記事。

2012.4.23 朝日新聞デジタル

「アースデイ」に自転車で発電 大阪でライブ

 地球環境を考える日「アースデイ」の22日、大阪市内で「自転車発電ライブ!」があった。

床に固定し、後輪に発電装置を付けた自転車8台をこぐと電気が発生し、ステージの照明や音響の装置などを動かせる仕組み。参加者に、電気エネルギーを「体感」してもらった。

 東京都渋谷区では脱原発を求めるパレードがあり、約1千人(主催者集計)が約3キロをデモ行進した。5月5日の「こどもの日」に国内で稼働する原発がゼロになることから、こいのぼりを掲げて「子どもたちのために原発のない未来を」と訴えた。

http://www.asahi.com/kansai/entertainment/news/OSK201204230013.html?ref=recc

 ここまでなら単なる啓蒙活動ですが、この発電ユニットを実際に風力発電の発電機に応用したという記事が次です。

 しかも高校生(高専生)たちが作ったというんですね。これって家庭でも、農家のビニールハウスでも、学校や公園でも色んな所に使えそうです。

 大きさや重さ、値段も手頃だし。私も仕入れようかな。

2011.10.18 朝日新聞デジタル

高専チーム開発の風力発電機、モンゴルで生産へ

 風力発電機を製造・販売するモンゴル初の企業が9月、首都のウランバートルに誕生し、14日から本格生産を始めた。

 生産しているのは「都城高専方式モンゴルクラシック型」。

 宮崎県都城市の国立都城工業高等専門学校のチームが開発した。

 「遊牧民の子どもたちに明かりを贈ろう」と発起して19年、「モンゴル国内で生産できるように」との目標が実現する。

 開発を主導した同高専の川崎敬一・技術支援センター長(60)らが7日、長峯誠市長を訪ね、現地生産する発電機を披露した。

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 発電機は回転直径1.5メートルの木製の羽根3枚を持ち、重さ約9キロ。秒速1メートルの微風でも発電でき、出力は300〜500ワット。1台で遊牧民の住居であるゲル3〜4張り分の照明をまかなう能力があるという。

 現地生産を始めたのは、都城市に工場を持つ風力発電機メーカーとモンゴルの民間放送会社が新設した合弁会社で、昨年12月には技術スタッフらが同高専を訪れて研修を受けた。

 川崎さんらは1992年、モンゴルの留学生から「燃料不足で遊牧民の子どもたちは照明がなく、夜は本が読めない」と聞いたことをきっかけに、93年に「モンゴルに風力発電機を贈る会」を発足させた。モンゴルでは風速5メートル以上の風が年間4500時間吹くことに目をつけた。

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 早速、自転車やバイクなどの発電機を利用した風力発電機づくりを始め、これまでに60台以上を現地に贈り続けたという。2000年には独自の発電機を開発。今回の現地生産モデルは遊牧民の利用を念頭に、部品数を少なくして持ち運びやすく、故障しにくくなるよう改良した。

 モンゴルでの販売価格は日本円で10万円以内に抑える意向で、月産20〜30台を目標にするという。

 ただ、課題は少し残っている。羽根の回転力を電気に変える発電機の心臓部分は高い精度が必要なため、まだ日本での生産に頼らざるを得ない。

 川崎さんは「現地100%生産になればコストダウンも可能」といい、「順調に生産が進み、日本に安価で逆輸入できれば」と期待した。そして「中央アジアの他の無電化地帯に広がり、モンゴルの新しいビジネスにつながれば」とも語った。

 こんなふうに「自然エネルギー」というのは、立派な学者や大企業だけじゃなく、私たち一般人も学生もみんなが工夫して作れるし商品化もできるんですね。

 「あてがわれる価値」から「つくりだす価値」への転換、これが生き物の私たちにとってどれほど大事なことか、との思いを新たにします。

 こういう工夫をさせていくことこそ、私は「教育」だと思うんです。

 すでにだれかが見つけたこと、成し遂げたことを「速く」「正確に」行うだけの教育、それは「競争力」というロボット的性能を高めるだけです。

 人がロボットと違うのはふたつの「そうぞう力」があるからです。

 それは「想像力」「創造力」です。

 このような価値を価値と認められなくなっている人がいたら、それは脳みそが「ずのう」ではなく「ほうしゃのう」になっているのです。たぶん。