モバイルハウスの原点

 昨日久しぶりに仙台へ「仕事」で出かけました。実は『モバイルハウスの作り方』という映画を見たくて仕事を作ったわけですが。。。
 以前このブログで紹介した坂口恭平さんの生記録映画です。とってもおもしろいです!

  →現代の「方丈記」

朝日新聞 2012.6.18

坂口恭平「カネのため人生捨てるな」 出版・映画次々

 建築家、作家、現代美術アーティスト、それに“独立国家”の初代首相……。書いていて正体が分からない希代のパフォーマー、坂口恭平(34)の出版・映画が相次いでいる。

 坂口本人を追ったドキュメンタリー映画が30日から公開される。

 坂口は河川敷のホームレスに教えを請い、移動式の簡易家屋(モバイルハウス)を設計する。ホームセンターで買い揃えた2万6千円の材料で建てる2畳半ほどのベッド付きワンルーム。小さな車輪がついて、移動可能だ。ドキュメンタリーで坂口は、東京・吉祥寺の駐車場に“家”を持ち込み、友人と新築祝いの宴を開く。デリバリーのピザを注文すると、驚き顔の店員がそれでもちゃんと配達してきて、「登録したので今後もごひいきを」とお愛想を言って作品は終わる。

 「35年ローンで家のために労働するとか、本当にしたい仕事をあきらめ家賃のため賃労働するっていうのが、納得いかん。選択肢を増やす、もう一つの場所を作りましょうということ」

 映画の中で、彼は「発想の原点」を話していました。

 小さい頃、公団住宅のような3DKの社宅に家族五人で暮らしていました。

 六畳一間に兄弟三人が学習机を並べていました。

 ある日、独立したスペースがほしくて机の脇にも椅子を置き、机と椅子にダンボールの屋根をかけ、その下で寝るようにしたら自分の居場所が出来たようで大満足。

 こうじて、食事もそこで食べるようになったらしいんです。

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 大学に入った彼は、廃ビルの屋上にある貯水タンクに目が止まりました。

 蓋を開けてのぞいてみたら水もないし、けっこう広い。

 さっそく彼はこのタンクの中に住み始めました。家賃はもちろんただ。

 これらの経験から彼の思想は「国家論」「哲学」にまで発展していきました。

 彼がよく使う言葉「レイヤー」には私も大いに触発されました。

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 さて、「モバイルハウス」や「スモールハウス」というのはコスト面の話ではありません。

 それは「新しい価値観」や「ライフスタイル」「コミュニケーション」と深い関係性を持っています。

 私たちは「今あるどうしようもない問題」「創造で克服すること」が求められていると思うのです。

 そのために、極端な発想転換や奇抜な実験、あるいは温故知新が必要と思うのです。

 彼はそのパイオニアの一人です。

 また、目を開いてよく見れば、私たちの身近にも、ひそやかに実践している人も多くいるようです。

 坂口恭平さんは、ホームレスとよばれる人たちに価値観を触発され、彼らにさまざまな工夫について教えられました。

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 今日届いた『世界あちこち愉快な家めぐり』という本にはこんな住宅が載っていました。

 中国福建省の山奥にある300人の集合住宅のようです。

 

参考
 Newロケットストーブに挑戦!
 素敵なスモールハウス
 ユニークなドームたち
 現代のロビンソン・クルーソー
 手のひらに太陽の家
 気仙沼のトレーラーハウス