鎌倉投信物語

 『ソトコト』という月刊誌で知りました。リーマン一族だけかと思っていた投資金融業界にも良心的なベンチャーがいたんです。
 『ソトコト』という雑誌を購読するきっかけとなったのは、福岡伸一さんの『動的平衡』の中身というものが、この雑誌に連載された記事だったことを知ったからでした。

 期待に違わず、とても私をインスパイアーしてくれる上質な月刊誌です。

 人生は長いようで短い。さらに読書する時間も(今では)実に短い。

 ろくでもない本を読んでしまった時間は取りもどすことはできません。読むべき本をきちんと選んでいきたいものです。

 さて、バックナンバーで取り寄せた『ソトコト』昨年の8月号には「ほっとするベンチャー記事」がありました。


鎌倉投信物語

 100年続く投資信託で、300年続く「いい会社」を応援したいと考える「鎌倉投信」。
 信頼で結ばれた長期的なお金の循環を大切にするこの会社のすべてを三編構成で紹介します。

設立秘話 その1

 運用や営業の現場で、一担当者だった私も、今では副社長。職場環境や処遇に何ら不満はない。
 しかし昨今は、短期的な利益を求める経営思想や、それを助長する投資の姿が急速に広まってきた・・・
 実体経済から乖離した派生型の金融商品が必要以上に拡まる現状に違和感を覚える。
 もう金融業界から離れよう。これからは社会貢献を実感できる仕事に戻りたい。

(クリックすると大きく表示されます)


設立秘話 その2

 投資の世界に戻ることに迷いがあった新井は一冊の本に出合う。
 『日本でいちばん大切にしたい会社』坂本光司著
 日本には、こんな素晴らしい会社がたくさんあるのか。こうした良い会社をふやす投資のあり方を目指そう!
 こうして鎌倉投信は本格的に動き始めた。


投資先はこんないい会社

 ピジョン 哺乳器シェアはなんと80%、「愛」を経営理念に掲げる会社

 ニッポン高度紙工業 土佐和紙を高付加価値商品に変え、国内シェア95%、海外シェア60%

 エフピコ 食品トレー製造、障害者が主役の戦力。雇用率は上場企業の中でトップクラス

 未来工業 特許・実用新案・意匠3000件超、残業ナシでも利益が出せる会社

 NDソフトウェア 山形県で約200人の社員を地元で雇用、地域と人を大切にするIT会社


旅館ではありません

 旅館ではありません。こちらが本社です。
 古民家をリフォームしたオフィス。金融のプロたちが売買や分析を行っている。
 冷静な分析を得意とする役職員が仕事前や昼休みに裏庭で野菜作りを。昨年は梅酒も造った。

 私の感想です。

 世には二つのベンチャーがあると思うんです。

 ひとつは「額縁」を作るベンチャー

 もうひとつは「絵」を描くベンチャー

 今の世の中は「額縁」つくりだけをめざすベンチャーが多いと思います。

 しかし、世に本当に必要なのは、中身の「絵」を描くベンチャーだと思うんです。

 「額縁」とは「しかけ」、中身を考えずに、変えずに、金儲けのしくみをつくることです。

 「絵」とは「理念」、従来のしくみも利用して、その中身を変えることです。

 「絵」とは「人にとって善きこと、美しきこと」です。

 「額縁」をつくるのはたやすく、「絵」を描くことは難しい。

 「絵」のない「額縁」は無意味です。

 鎌倉投信は、「絵」を描くベンチャーだと思います。

 私は、こういう方々を敬意を込めて『リアルベンチャー』と呼びたいと思います。

 少し褒めすぎかな〜。それよりこの会社に投資してもらえるような会社つくりをめざそう!(だけど人様の投資などないのが一番楽ですけどね)