けんちゃん憤慨する

 景気を良くするということは「買いたい」を増やすことでしょうか?「買い急ぐ」をあおることでしょうか?

ある日の偏屈堂書店

 偏った本しか置いてないので、さっぱり客が来ない「偏屈堂書店」。今日もやっぱり店主が一人で本を読んでいる。

 そこに現れたのが、いつものヤンキー角刈りダボシャツ、自称フーテンのけんちゃんだ。

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けんちゃん憤慨する

 「お〜す、オヤジ。眼鏡を頭に上げて、ま〜よく読書ばっかりして飽きないもんだな。いや寝てるのか?もしかしたら」

 「おっと、またおまえか。今日はどこで遊んでるんだい。もしかして花見の下見かい。ここいらの桜が咲くにはまだ早いぞ。お前さんも犬みたいにほっつき歩ってばっかりいないで、少し本でも読んだらどうだい」

 「てやんで〜、読書とか学問とか何の役に立つって言うんだい。この俺だってたまにゃ新聞とかニュースとか見てるぜ。それを見てるとどう考えたって俺より利口とは思えね〜こととか奴ばっかりじゃなえ〜か。呆れて学問などする気なんか失せちまうぜ。」

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物価が高くなるのがなぜ嬉しい?

 「おいおい、いったいどうしたっていうんだい。そうか、きっと一杯ひっかけてきたんだろう?」

 「のんじゃいね〜よ。ところでじいさんだって最近の経済ってやつが、変てこりんな話と思わないかい?みんなで物価を上げて高いもの買おうっていうんだぜ。さらに消費税とが8%になって、その翌年が10%になってますます高い買い物しようっていうんだぜ。しかもその物価を上げ続けないと、だれも買わなくなるってんだから、俺には狂ってるとしか思えね〜んだよ」

 「う〜ん。わしにはよくわからん。為替相場とか円高円安とか株が上がった下がったとか、なんか目隠しされてシーソーに乗せられてるような気がするよ。でもお前さんの言うことはよくわかる。だけどそんなこと言ったら笑われないかな〜と心配して何も言えないんじゃよ」

 「そうだろう!だって今消費税が入って1050円の食いもんがだぜ、とりあえず2%物価が上がって、消費税が8%になって1102円になるっていうんだぜ。その翌年はさらに2%上がって消費税が10%だから1144円になるんじゃね〜か。いったいだれが余計に買い物するようになるっていうんだい?」

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不思議なカラクリ

 「給料上がったって追いつかないじゃろうな。それに中小零細企業が仕入れが高くなるっていうのに気前よく賃上げできるわきゃないさ。もっと大変なのは賃上げなんか関係ない年金暮らしのわしたちじゃ。わしにゃアブネ〜ミックスとかのカラクリがさっぱりわからんよ。。。」

 「それとだな、爺さん。tppってやつも、ソーリはいかにも反対みたいなそぶりしておいて、突然豹変、一気にのんできたじゃね〜か。これから外国から安い食いもん入ってくるていうんだろう。このしくみは。それじゃ国内の企業がインフレですから今までより高くしますね、なんて言えるわけないんじゃね〜か?」

 「テレビや新聞で『好景気に沸く大都会』みたいなことをやたら垂れ流しているんで、なんかそういういい方向に向かってるのかな〜と錯覚してしまうんじゃな。高くなる前に買わせるっていうのは先食いと同じだ。後に食うものいったい何があるというんじゃい」

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買いたいのか?買い急ぐのか?

 「こんなことやってんのが政治とか経済とかなんだぜ。なんか目の前に人参ぶら下げられた競馬馬みたいな俺たちだぜ。ガラクタもっと買え!とあおられてさ。だれかさんが言ってたな。『経済学は風が吹けば桶屋が儲かることを研究する学問である』って。そのとおりだぜ」

  →ノボ辞典「経済」

 「たしかにそうだ。忌わしい原発も元に戻りそうだし、新エネルギーとかほんとにほしい未来の食いぶちがどんどんなくなっちまいそうだよな。農業は今に輸出製造業が経営するようになって全自動化するだろう。農家は工業みたいになるだろうが、それにしたって外国の安もんと対タイじゃろう。物価は上げ続けるというし、働き場所は減っていきそうだし、身の回りは外国もんだらけになりそうだし、近未来の日本はかなり変るじゃろうな。。。」

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一人ひとりの自己防衛

 「じいさん、それでおいらは今挑戦してるんだ。何にかって?それはな、マイクロ農業とBライフってやつさ。Bってのはな『ベーシック』のBなんだぜ」

  →Bライフの皮算用

 「お〜言わんでもわかるぞ。わしらは今でも似たようなもんじゃ。国とか政治とか経済とかにできるだけ影響を受けないようなライフスタイルのことじゃろう。自分の身は自分で守るしかないもんな〜。できれば気の合った仲間とできれば嬉しいことではあるがな」

 「そうだろ〜。農業ってやつはこれから家庭農業になっていくはずさ。今までスーパーやらお上やらに頼りっぱなしになっていたもんを、思い切り小さくして自分たちでやっちまうのさ。ま〜「ニュ自給自足スタイル」ってもんかな。それなら俺だってできそうだし、なによりも愉しそうじゃね〜か?」

 「おもしろそうじゃのう。年寄りの力、田舎の力が大いに役立ちそうじゃ。こ難しく言うと、国とか市町村と重なるもうひとつ、いやいくつものレイヤー世界を創っていくわけじゃな。わしもワクワクしてきたぞ。研究してみることにしよう」

 「さ〜、じいさん。今夜は花見の前夜祭とでもいくか!」

 「おいおい、花見の先食いばっかりしないで、ほんとの花見の金は少しは残しておくんじゃぞ」

 →ある日の偏屈堂書店