新ひょうたん島「隣組復活」

 「新ひょうたん島」は小さな独立国。こんな小さな国なら突飛な実験もできそうです。
 名作が迷作として復活しそうです!

 井上ひさしさん原作の「ひょっこりひょうたん島」が、ノボ村長によって「新ひょうたん島」に生まれ変わりました。

 「新ひょうたん島」では、ドン・ガバチョをはじめとしたあのスターたちが、往年の姿そのままにお笑いシナリオで再登場です!


隣組復活

 ひょうたん島も今や核家族化が進み、大統領ドン・ガバチョは大いに悩んでいた。

 「昔はよかったですな〜、隣近所に『たすけあい』があったから、みんなけっこうのんびり暮せていましたよ。わが島も災害に備えて古くても良い習慣を復活させたいもんですな」

 
 サンデー先生も相槌を打つ。

 「そうですわよね〜。私もお醤油切らしたときなんか、すぐにトラヒゲさんが貸してくれましたわ〜」




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 博士が思わず左の掌を右のこぶしでたたきました。

 「そうだ、ガバチョさん。なんとか昔の隣組を復活させましょうよ!」 

 「いったいどうするというんだい?博士君。。。」

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 博士 「僕は今、伝説とされている江戸国の本を読んでいるんです。その中におもしろいものを見つけたんです」

 サンデー先生 「それは何なの博士君。私の教育がいいせいか君はいつもアイデアがひらめくのね」

 博士 「ガバチョさん、それを『平和の火種プロジェクト』と名付けましょう。このひょうたん島からマッチとライターをなくしてしまうのです!かわりに江戸国で使っていたらしい『火打ち箱』だけ使うように法律で決めるのです」

 マシンガン・ダンディが拳銃をぶら下げて話に加わりにやってきた。

 ダンディー 「おい、博士。俺のたばこはどうなる?もっと詳しく聞かせろよ」





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 博士 「江戸国ではマッチもライターもなかったんです。そのかわり火打石で出した火花をモグサで作った『ホクチ』に点火し、それを火種として火打ち箱の中で保存したらしいんです。いや実際には炭火の残り火をアクに埋めて火種にしていたようですが」

 ガバチョ 「博士君、どうしてそれが隣組復活になるんじゃい?」

 博士 「それは、火をつけること、火を保存することがとても難しいからなんですよ。どの家でも生活に絶対必要な火。もしそれを消してしまったら、隣近所に分けてもらわないといけないんです。お互い同士

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 サンデー 「なるほどわかりましたわ、わたくし。道具の効用というものを、使う人だけの利便性ではなく、社会全体の利便性っていうか、人と人をつなぐ効用という観点で考えているのね。博士君」

 博士 「サンデー先生、そのとおりなんです。僕は伝説の江戸学にとても教えられているんです。たとえばギンギン明るい蛍光灯よりもほの暗いろうそくや行灯の灯のほうがかえって読書の集中力を増すとか。。。それで一見古道具のほうが僕たちのためになるんじゃないかって

 ダンディー 「なるほどな。そういえば俺の親父が暗算速いのも、そろばんが得意だったからじゃね〜かな。俺なんかデンタクってやつに頼り過ぎて以来まったく暗算はできなくなったぜ」

 ガバチョ 「ダンディー君しかりですな。私めもこの太鼓腹は私の怠け癖のせいではありませんぞ。自動車っていうのがひょうたん島に来たせいなんですから。いやはや。。。」

 博士 「僕は、便利、不便利って考え方を、個別最適から全体最適の枠で考えなおすと面白いと思うんですよ

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 ガバチョ 「それでは明日から大統領令を発令してマッチとライターを海に捨てることにいたしましょう!ダンディー君保安官としてよろしくね」

 ダンディー 「まかしておけ!われわれもお互いたすけあいさ!

 (テーマソングが流れてくる)

 ♪ 悲しいこともあるだろさ、さびしいこともあるだろさ、だけど僕らはくじけない〜 泣くのはいやだ笑っちゃおう 進め〜ひょっこりひょうたん島、ひょっこりひょうたんじ〜〜ま〜〜 ♪