鳴子温泉湯めぐり道中記

 先週末、おんちゃん連中で鳴子温泉に一泊二日の湯めぐり道中をしてきました。入った風呂は8カ所でした。
 長崎から出張で東北に来ていた私と同業の濱田さん、わが相棒デザイナーゴリランジェロ氏、そして私の三人で鳴子温泉郷に一泊しました。

 鳴子はこの時期、紅葉真っ盛りです。

 時間は午後三時半、宿に入る前に一目紅葉を見てくることにしました。

 有名な「鳴子峡」は混んでいるだろうと思い、もうひとつの紅葉スポット「鳴子ダム」へと車を走らせました。

 夕方まじかの「薄もや」がフィルターになって、やわらかい紅葉衣装を山肌に見せてくれました。


(老眼のカメラ小僧?たち)

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 さて濱田さんとの鳴子めぐりは今年三回目です。

 毎回、異なる湯種の温泉に入ってきました。

 なにせ、日本にある湯種11種類のうち9種類もあって、しかも源泉数は370本もあります。

 湯種が同じでも、それぞれ全く違う温泉のようです。

 つまり370種類の温泉カクテルが鳴子温泉にはあるということです。

 ですから、何回も訪れないと鳴子温泉の魅力はわからない、というのが観光地として良くもあり難しくもありですね〜。

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 今宵は、肌にいいといわれる美人湯「重曹泉」からスタートです。

 泊まった宿は東鳴子温泉「旅館 大沼」


(「旅館大沼」が特集された雑誌より)

 湯治宿がベースの懐かしき風情ただよう温泉旅館です。

 入館早々、女将さんのたてる抹茶と生菓子をいただきました。

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 今回の鳴子湯めぐりのスタートは大沼の露天風呂からでした。

 宿の車に乗せられて5分、閑かな林の中にある貸し切り露天風呂に到着です。


(「旅館大沼」が特集された雑誌より)

 湯に入っている間に日は暮れかかり、トゥワイライトゾーンとなりました。

 「逢魔が時だよな〜」なんて話したとたんに、だれかがこう言います。

 「俺たちが妖怪じゃないの?」って。(みんな納得)

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 どこか素朴な風で、とても美味しい夕食を食べてからいよいよ別な浴場制覇です。

 「旅館 大沼」には、大小合わせて八つ浴場があります。


(部屋の窓から。下には小ぶりの露天がチラりズム)

 宿泊客にはこのうち六つしか教えられません。

 私は8年前、この旅館で4泊ほど湯治したことがあるので、4階に湯治客専用の浴室が二つあることを知っていました。

 「陽の湯」と「陰の湯」という名前が付いています。

 畳一畳くらいの小さな風呂ですが、眺めもありなかなか味があるのです。

 三人でこの二つのお風呂に入りました。

 狭い浴槽で「アツ〜!」なんて叫びながら、三人でギュウギュウイモの子?洗いの様相です。


(湯治棟4階にある「陽の湯」)


(湯治棟4階にある「陰の湯」)

 でもこんなのが思い出になるんですね。

 この日は9時半には皆バタンキューでした。

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 翌朝は天女の壁画が描かれた大浴場、小さな露天風呂、家族風呂の三つに入りました。

 同じ旅館にあって泉質は似ていますが、浴場ごとに微妙に成分が異なるのがイカスところです。

 女将さんと記念撮影をして宿を出ました。

 出て15分ぐらい車を走らせた頃、旅館から電話が入りました。

 なんと、ゴリランジェロ氏のポケットに部屋のキーが。。。

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 さて、ゴリ氏の娘さんがアトピーで悩んでいるということをかねて聞いていたので、特効薬のような温泉を案内することにしました。

 それは以前も紹介した「ホテル瀧島」にある「薬湯」です。

 実は、この旅の一週間前、私はこの薬湯に入りさらに旅館の奥さんから温泉水スプレーを頂戴し、その薬効にたまげていたのです。

 なんとしても、この温泉水スプレーを彼に渡したいと思い、10時半、三人で「薬湯」につかりました。

 効き目がスゴイ!

 濱田さんはロビーでほてった身体をさましていても、一時間も真っ赤な顔のままです。

 私もゴリ氏も同様です。

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 そのロビーというか、勘定場に現れたのがこの宿のご主人。

 この温泉の効果、アトピーになぜ効くかの説明、仙台の有名なアレルギークリニックで、この温泉水が治療に使われているこなどをとうとうと話してくれました。

  →丸山アレルギークリニック院長先生のブログ

 まるで長崎出身の「ジャパネット高田さん」みたいです。(ジャパネット鳴子かいな?)

 お年を聞けば65を過ぎているらしいのですが、私たちよりずっと若い!

 あんまり温まる湯なので、雪の日でもこの主人はパンツ一丁で玄関前に出るらしく、新任の警察官だと必ず「御用!」とくるそうです。(と笑っていました)

 宿泊客しかもらえない温泉水スプレーをもらい、その効果もわが身で実験し、ぬけないほてりのまま次へと向かいました。

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 「薬湯」が絶大の効果ですぐに次の温泉に入るのは無理だろうということで、鳴子にある酸性湖「潟沼(かたぬま)」へ行きました。

 小雨模様の中、潟沼は紅葉はこれまたおぼろな奥ゆかしい装いで、しっとりとしたジャパネスクでありました。


(ゴリ氏撮影の「小雨にけぶる錦糸の潟沼」です)

 とっても濃くて旨い「きのこ汁」でエネルギーを補給し、もう一つの名物温泉へと向かいました。

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 それは、これまたアトピーの名湯として名高い「東多賀の湯」です。

 昭和初期、俳人「山頭火」が宿泊し、句を詠んでいった温泉とのことです。

 私は何回か来ていますが、何度入ってもインパクトのある温泉です。

 硫黄性の濃い乳白色の湯。

 木の浴槽や腰板が乳白色のペンキでも塗ったような色になっています。

 この色だけでも効きそうです。

 やはり一畳くらいの浴槽に、大の大人三人が貸しきり状態で湯につかり「ア〜〜〜!」と雄叫びます。

 案の定、次の日まで硫黄の臭いはとれませんでした。

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 ホテル瀧島のご主人が言うには、アトピーに効く温泉には二つの種類があるそうです。

 ひとつは重曹泉系統で、これは表皮をなめらかに溶かし、細胞の間隙に温泉成分が浸透して肌を癒やすそうです。

 反対に硫黄泉系統は、肌を乾燥させて灼くような感じで表皮を脱落させ、その刺激で新しい皮膚の産生活動を活発化させるそうです。

 柔らかい保湿クリームみたいなのと、刺激の強い傷薬のような二種類ということでしょうか?

 (私の解釈間違いもあるかもしれませんのであしからず)

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 昼過ぎ、オヤジ三人の一泊二日「鳴子温泉湯めぐり道中」を終え古川へと向かいました。

 古川は米どころとして有名です。

 「ササニシキ」「ひとめぼれ」も古川で生まれました。

 そして数十年ぶりに、ササニシキのあっさりした食感と、ひとめぼれの強さを受け継いだ大物品種「ささ結び」が今年生まれました。

 この日は古川の「君鮨」が、一日だけこの新品種のお米で鮨を握ってくれる日でした。

 江戸前鮨はやっぱりササ系のお米じゃないとね〜


(古川の名物親方、横綱白鳳も来ました)

 貴重なお寿司を美味しく食べ終わり、濱田さんは新幹線(羽田から飛行機)で長崎へと帰られました。

 また皆で行きましょうね!

  前回までの湯治記はこちら
   →鳴子温泉日帰り放浪記(1)
   →鳴子温泉日帰り放浪記(2)
   →鳴子温泉日帰り放浪記(3)