ひょうたんの湯に入る

 連休中は相も変わらず鳴子温泉郷へ。未踏峰征服をめざし、東鳴子の「初音(はつね)旅館」へと向かいました。
 370本もの異なる源泉がある鳴子温泉郷、探検はまだまだ続きます。

 「晴天なれど風強し」の成人の日、実に地味なたたずまいの旅館へ行ってきました。

 東鳴子温泉にある「初音(はつね)旅館」です。

 はじめて入りました。

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 玄関で「たのも〜〜」と叫んでも物音一つなし。

 よく見たら「御用の方は帳場へ」の張り紙が。

 (ここが帳場じゃなかったんだ)

 廊下の奥に「ここで呼んでください」と張り紙がありました。

 奥から出てきたのは、まだ目に元気のあるおばあさん。

 「どこから来たんですか?」「はじめてですか?」

 どういうわけか、この辺の鄙びた旅館では必ずこのように聞かれます。

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 この旅館には、鳴子温泉郷の特徴でもありますが、一軒の宿に複数(ここは三種類)の異なる温泉があります。

 案内していただいたのは、日帰り客が唯一入浴できるこの旅館のメイン温泉「岩風呂」。

 かたちが「ひょうたん」で、上からかけいで湯が落ちてきます。

 浴槽の形も湯が落ちる音も風情があっていい感じです。

 まるで、かけいから落ちてくるのがお酒で、それに釣られた酒呑童子が「ひょうたん」に入れられたような感じです。

 酒呑童子になりきって温泉を愉しみます。

 この浴槽の意匠やら窓の外の雪やら眺め感慨にふけります。

 「昔からのばあさん食堂みたいだな〜。店もばあさんも古いが、味は昔から変わらぬ美味しさだ」

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 ふと天井を見上げれば味のある工夫です。

 片端には隙間をあけて風を通し、湯気を巻き込んだ風が斜めになった天板を通って片端の格子戸から脱けていきます。

 かけいから流れる湯は高温ですが、落下させながら空気で冷やし浴槽の湯温はとても「あんばい」がいいものでした。

 泉質はこの時期嬉しいあったまり効果抜群の「食塩・芒硝・重曹泉」です。

 こんな意匠を工夫した岩風呂で鳴子の名湯を独り占めしているなんて、なんと私は贅沢な体験をしているのでしょう。

 たったの400円で。

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 酒呑童子ものぼせつつなんとか「ひょうたん」から脱し、玄関へと向かいました。

 誰もいない休日のお昼です。

 廊下には、この旅館の女主人のご趣味でしょうか。

 旅館の庭に咲く四季の花の写真がさりげなく飾られてられていましたが、デジタル写真の現代、少々タイムスリップした感じになりました。

 このまま年齢もタイムスリップしてくれればいいのにな〜。

 鄙びた旅館ですが、部屋ではWifiも利用可、自由に読める漫画本も600冊くらいあるそうです。

 三種類の湯を楽しみながら湯治できるし、ふるさとの家に帰ったようで飽きない感じですね。

  →初音旅館ホームページ

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 帰宅したら玄関でびっくり!

 なんと風船の酒呑童子がでんとしてお迎え。私に睨みをきかせているではありませんか!

 午後に孫たちが来たので、わが女房が一緒につくったらしいです。

 なんとタイムリーなことか?さっそく晩酌といきました。

 そういえば節分も、もう間近ですね〜。

 赤鬼オヤジの皆さん、あまり豆をぶつけられないよう日々の飲み過ぎには注意しましょうね!

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