「私の言う想像力とは、実在しないものを空想するようなあやふやなものではない。」とゲーテは語りました。
「ゲーテの深い言葉」第15話を書きました。
私たちはどうも「想像力」と「空想力」を混同しがちです。
ゲーテの語る「想像力」とは「予測能力」と言えるかもしれません。
「教養」や「知性」の最大の目的とは、私たちの生存のために「想像力」を得ることではないでしょうか?
岩波文庫『ゲーテとの対話』下巻p299
1830年1月27日ゲーテは、そこでまた話題をフォン・マルティウス氏に戻して、彼には想像力があるといって、ほめそやした。
「つまり」と彼はつづけた、「この高度な天分なくして、真に偉大な自然科学者というものは考えられない。ところで私の言う想像力とは、実在しないものを空想するようなあやふやなものではない。私の考える想像力とは、現実の基盤から遊離したものではなく、現実的な周知のものに照らして、物事を予想し、推測しようとすることなのだよ。
そのばあい、想像力は、この予想したものが可能であるかどうか、他の既知の法則と矛盾しないかどうかを吟味するだろう。しかし、このような想像力が幅広い冷静な頭脳を前提とすることはもちろんさ。生きた世界とその諸法則を、意のままに洞察できる人であることが必要なのだ。」
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「私たちは何をしでかしてきたか、何をしでかしてしまうのか?」
人類として、想像力で体験すべきこと、予想すべきことは、これに尽きるのではないでしょうか。
参考→「ゲゲゲのゲーテ」より抜粋
→ゲーテ「趣味について」
→ゲーテ「わが悔やまれし人生行路」
→ゲーテ「嫌な人ともつきあう」
→ゲーテ「相手を否定しない」
→ゲーテの本を何ゆえ戦地に?
→ゲーテ「私の作品は一握りの人たちのためにある」
→ゲーテ「好機の到来を待つ」
→ゲーテ「独創性について」
→ゲーテ「詩人は人間及び市民として祖国を愛する」
→ゲーテ「若きウェルテルの悩み」より抜き書き
→ゲーテ「自由とは不思議なものだ」
→ゲーテ「使い尽くすことのない資本をつくる」
→「経済人」としてのゲーテ
→ゲーテ「対象より重要なものがあるかね」
→ゲーテ「想像力とは空想することではない」
→ゲーテ「薪が燃えるのは燃える要素を持っているからだ」
→ゲーテ「人は年をとるほど賢明になっていくわけではない」
→ゲーテ「自然には人間が近づきえないものがある」
→ゲーテ「文学作品は知性で理解し難いほどすぐれている」
→ゲーテ「他人の言葉を自分の言葉にしてよい」
→ゲーテ「同時代、同業の人から学ぶ必要はない」
→ゲーテ「自分の幸福をまず築かねばならない」
→ゲーテ「個人的自由という幸福」」
→ゲーテ「喜びがあってこそ人は学ぶ」