「独創」と聞けばだれもがこう思うのではないでしょうか?「独創なんて私たちには高嶺の花」と。
いえいえ、独創は高嶺の「花」どころか、どんな仕事にも(人生にも)一番大事な「根っこ」だと私は思うんですよ。
「独創」というより「独創の精神」と言ったほうがいいかな。
なぜ大事かって?
独創の精神がないと、「お金」しか愛せなくなるからです。
新たな価値を生み出すことがなければ、仕事は(人生は)「お金」の奪い合いだけになります。
それは貧富の差を増やすだけで、社会にとって良いことなど何もありません。
まるで、ろくな荷物がないのにトラックだけがゴウゴウと走り回っているようなものです。
「金が金を生み続けるのが経済」「金の移動こそが経済」という「マネー経済」が行き過ぎて、社会も人の心も知らず識らず劣化し続けているように思えます。
かつて「お金を儲けて何が悪い?」と開き直る有名人もいましたが、この問いかけ自体とても貧しく感じます。
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「新たな価値が生まれて、その結果として金が動く」のが本来の経済だと思うんですよ。
何よりも大切なことは、「独創」があればこそ生み出した製品やサービスを愛することができる、ということではないでしょうか。
製品やサービスへの愛情はそれを創る人、それを使う人への愛情、つまり社会への愛情につながります。
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お金の奪い合いの典型は「賭博」です。
内田樹(たつる)さんが「カジノ法案」について朝日新聞のインタビューに答えていましたが、実に考えさせられます。
カジノについて
朝日新聞2014.10.21(前略)
――安倍晋三首相は、シンガポールでカジノを視察して、日本の経済成長に資すると発言しました。経済を活性化する良策ではないですか。
「賭博は何も生み出しません。何も価値あるものを作り出さない。借金しても、家族を犠牲にしても、人から金を盗んででも、それを『する』人が増えるほど胴元の収益は増える。一獲千金の夢に迷って市民生活ができなくなる人間が増えるほど儲かるというビジネスモデルです。不幸になる人々が増えるほど収益が上がるビジネスである以上、そのビジネスで受益する人たちは『賭博に淫して身を滅ぼす人』が増大することを祈ることを止められない。国民が不幸になることで受益するビジネスを国が率先して行うという発想が、僕には信じられません」
――しかし観光振興の起爆剤になり、自治体財政にも寄与する可能性はある。デメリットを上回るメリットがあるとは考えられませんか。
「安倍政権の経済政策は武器輸出三原則の見直し、原発再稼働などいかに効率的に金を稼ぐかにしか興味がない。でも、当然ながらリスクが高いほど金は儲かる。一番儲かるのは戦争と麻薬です。人倫に逆らうビジネスほど金になる。でも、いくら金が欲しくても、あまり『はしたないこと』はできない。その節度が為政者には求められる。その『さじ加減』については先人の経験知に謙虚に学ぶべきですが、安倍政権には節度も謙虚さも何も感じられません」
「為政者の本務は『経世済民』、世を治め、民を済うことです。首相は営利企業の経営者じゃないし、国家は金儲けのためにあるんじゃない。福島の原発事故対策、震災復興、沖縄の基地問題の解決の方がはるかに優先順位の高い国民的課題でしょう。厳しい現実に目を背け、なぜ金儲けの話ばかりするのか」
(後略)
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全文を読むとわかりますが、内田さんは賭博を完全否定しているわけではありません。
それはやはり人間の本性みたいなところがあります。
それゆえに、「節度」や「さじ加減」が特に大事であることを私たちに諭してくれます。
私も同感です。
政治家や経済家は「賭博」以外に何も考えられないというのか。。。という落胆を感じます。
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私は日々「独創」の価値を考えていますし、あらゆる所にその可能性があることを確信しています。
独創を忘れた仕事や人生は、いくら儲かっても、いくらきれいそうでも、とても貧しく情けないものではないでしょうか?