本の付箋

『日本の原爆』を読んで(その1)

この本を重い気持ちで読み終わりました。著者の何十年にも及ぶ綿密な調査。読了後、「原発立国」のルーツは太平洋戦争にあったことを実感しました。そこには人間くさき科学者の葛藤、軍人との駆け引き、平和利用への夢と情熱もありました。複雑な心境です。…

『今ファンタジーにできること』

女房が孫にいろいろ本を買ってあげています。小さい頃にワクワクして読んだ本は一生の宝物のように思います。『今ファンタジーにできること』を読みながら、「文学の豊かさ」というものをあらためて感じています。

「部分自然」と「全体自然」

あまりにも「経済学」と「物理学」だけ偏重し過ぎではないでしょうか。今の世は。それとあまりにも「専門化」のし過ぎみたいです。「木ばっかり見て森が見えない人」だらけです。もっと総合的な学問とか考え方がないと、人類は地球の「デストロイヤー」にな…

ケストナー『合成人間』

町にカギ十字の旗がゆれる1936年、児童文学者ケストナーは国内に踏みとどまりました。ナチスから追われ、執筆を禁じられ、作品が焚書のうきめにあう状況の中で『人生処方詩集』は国外で出版されました。

「生物の世界」拾い読み

今とても大事な視点は「生き物」としての私たち。「人間」でも「社会人」でも「会社人」でもなく。「生き物」の視点から考えると政治経済的な考え方とは異なる思考が生じます。

本の中の世界より

私は真の科学者は哲学者でもあり芸術家でもあると思います。理科系と文化系に分けてしまうことは間違いだと思っています。湯川秀樹さんの「本の中の世界」を読むと本当にそう思います。あらゆる種類の文学や思想や文化が湯川さんの物理学のバックボーンとし…

この世は巡礼である

私が山本周五郎を読み始めたのは五十を過ぎてからです。 それまでは道徳的でまじめな作家という先入観をもっていましたが、実際にはまさにその反対、破天荒な生いたちと凄絶な作家人生を歩んだ方と知りました。

自然は曲線を創り人間は直線を創る

日本人初のノーベル賞受賞者湯川秀樹の読書エッセー「本の中の世界」を再読しました。湯川秀樹は洋の東西を問わぬ大変な読書家でありました。この本で取り上げている作家や作品は多様です。

人間の理性の限界

昨日の続きスタニスワフ・レム「天の声」よりの抜粋です。 最後のページに書かれていた文章です。

キューリ夫人がもし今を知ったら

ポーランドの偉大なSF作家故スタニスワフ・レムは私がとても関心を持つ作家です。原発問題が起きたときすぐにこの本「天の声」を思い出し再読しました。